アーティストの音域データを扱い、以下のことに着目しています。
自分の音域を知っていると、カラオケの選曲に役立ちます。
音域データから自分の音域に合った曲を見つけたり、キー変更の目安が分かります。
CDなどの原曲に合わせて歌い、各箇所の音が「出せるか、出せないか」で判断できます。
具体的な例として、レミオロメン「粉雪」のサビ部分で説明します。
「こなゆき ねえ 心まで白く 染められたなら」
(©レミオロメン『粉雪』作詞・作曲:藤巻亮太より引用)
この赤字の部分が出せるとhiAという高さが出ることになります。
hiAとは音の高さを表す音名です。この音名については次の章で説明します。
この意味は「歌に使えるレベルの発声」「極端に無理をしないでも出せる高さ」などを指します。
「音楽的限界キー」とは別に「生理的限界キー」もあります。
「生理的限界キー」は奇声も含めてそれ以上は声が出ない体の限界を意味し、歌には使えないと考えてよいです。
カラオケ等で歌う場合には、歌に使える「音楽的限界キー」に合わせて選曲やキー変更するのが好都合でしょう。
鍵盤1〜4はピアノをもとにしたものです。
それぞれ異なった文字が書いてありますが全て同一関係です。
つまり、オレンジに色付けされた部分で言えば「440Hz」=「ラ」=「hiA」=「A4」となります。
この周波数に対応したのが鍵盤1で基礎になります。(小数点以下は四捨五入)
周波数の数値が大きいほど高音になります。
つまり、440Hzより523Hzのほうが高音です。
鍵盤3と鍵盤4はその周波数を音名に置き換えて表しています。
この音名の見方は、例えば「mid1」や「mid2」や「hi」を、それぞれ1つの階級と仮定します。
そして、「mid1」や「hi」の後に付いている「A・A#・B・C・C#・D・D#・E・F・F#・G・G#」を見ます。
各階級(low〜、mid1〜、mid2〜、hi〜)の中で、
一番低い音がAになります。逆に一番高い音はG#です。
「#」はピアノの黒い鍵盤部分です。
要するに、一つの階級は始まりがA、終わりがG#です。
G#まで行ったら次の階級のAに移ります。
mid2G#の次は階級が移ってhiAということです。
これは上の鍵盤3をさらに広域表示。lowlowFからhihiE(4.9オクターブ)になります。
hihiA、hiC#、hiA、mid2G#、lowG ←なんて読むのか?
一般的と思われる読み方をあげます。
A・B・C・D・E・F・Gは英語読みで『エー・ビー・シー・ディー・イー・エフ・ジー』
#は『シャープ』
これらをを組み合わせると・・・
※mid2やmid1は複数あげましたが、自分のしっくりくる読み方で問題ありません。
1オクターブはドレミで書くと、
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」です。 ミから始まったら「ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ」です。
それでは説明にあたって、上記の最初のドをmid2C、最後のドをhiCとします。
mid2Cの1オクターブ上はhiCになります。
逆にmid2Cの1オクターブ下はmid1Cとなります。
mid1CからhiCで2オクターブになります。
例えば、最低音がmid2Aで、最高音がhiAの曲なら、ぴったり1オクターブ使用になります。
今度は、最低音がmid1D#になり、最高音はそのままhiAだったとしたら、1.5オクターブ使用になります。
今度は個人の音域で考えてみます。
成人男性で言えば、低音がlowF、地声の高音でhiB、さらに裏声でhiGまで出ると仮定します。
この場合、地声の声域は2.5オクターブ。裏声を合わせたトータルでは3.2オクターブとなります。
上記の「生理的限界キー」lowFからhiGを元にすると、
例えば低音がmid1A、地声の高音でmid2G、裏声でhiEという感じで「生理的限界キー」より狭くなります。
この場合、地声の声域は1.8オクターブ。裏声を合わせたトータルでは2.6オクターブとなります。
カラオケで使うキーコントロールは、キー変更1個分で鍵盤1個分の移動になります。
hiC#からキー1個上げでhiD、2個上げでhiD#、3個上げでhiE、5個上げならhiF#になります。
hiC#からキー1個下げでhiC、2個下げでhiB、3個下げでhiA#、5個下げならmid2G#になります。
以上のように最高音が変わっていきますが、もちろん最低音も連動して変化します。
この曲は地声最高音がhiC#、最低音がmid1F#です。音域は1.6オクターブです。
これをキー変更1個分に上げ下げしたのが下の鍵盤になります。(真ん中の鍵盤が原曲CDの音域、通称:原キー)
この曲はサビの最後「ウルトラソウル」の部分がhiC#です。
(©B'z『ultra sou』作詞:稲葉浩志/作曲:松本孝弘より引用)
なのでこの部分が出せる人はhiC#が出ることになります。(hiC#は女性曲の最高音と同等なほど高い音です。)
もしhiC#が全く出せなかったり厳しいと感じたら、自分の音域に合うようキー変更して歌えばOKです。
例えば、hiAが限度ならキーコントロールで原曲キー状態から4個下げればhiC#がhiAに変わります。
もっと余裕を持って歌いたい場合は5個や6個下げます。
※ただし、最高音を下げた分だけ最低音も同様に下がるので、今度は低音が出し辛くなってきます。
このことから、2オクターブ以上などの音域が広い曲は、キー変更しても歌えない可能性があるので注意が必要です。
この曲は地声最高音がhiB、最低音はlowG#です。音域は2.25オクターブで音域が広い曲といえます。
男性の場合、地声でhiBを出すのはキツイ、もしくは歌に使えるレベルでは出せない人も多いと思います。
そこでmid2Gまでなら出せるとして、hiBからmid2Gなのでキーを4個下げます。
同様に最低音も4個下がるのでlowG#からlowEになります。
すると、地声最高音はmid2Gで出せる範囲になったのに、最低音がlowEになってしまい「低すぎて無理」となります。
女性がL'Arc〜en〜Cielの「winter fall」を歌う場合も大変でしょう。
最低音のlowG#は、一般的な女性では「歌に使えるレベルでの発声」はまず不可能といえます。
そこでmid1Eまでなら何とか出せるとして、lowG#からmid1Eなのでキーを8個も上げないといけません。
同様に最高音も8個上がるのでhiBからhiGになります。
すると最低音はmid1Eで出せる範囲になったのに、地声最高音がhiGになってしまい「高すぎて無理」となります。
※『原曲キー』=『CDと一緒』ですが、
カラオケの機種(DAM、UGA等)や曲によっては、
原曲キーの設定がCDとは違う間違った状態で配信されている場合があります。
これは鍵盤を適当な音域ごとに区切って色付けしています。
左から■超低音域、■低音域、■中音域、■中高音域、■高音域1、■高音域2、■超高音域
地声最高音は■から■までが多くなっています。
とても声の高いアーティストだと、■が増えてきます。
洋楽のハードロック・メタルといったジャンルでは、■の超高音域が使われることも珍しくありません。
最低音に関しては、■や■が多くなっています。
地声最高音は■が多くなっています。
その中でも声の高いアーティスだとhiE以上を使用してきます。
最低音に関しては、■がほとんどで、まれに■の曲もあります。
曲名 | 地低 | 地高 | 裏高 | Fake | 説明 |
粉雪 | mid1B | hiA | hiA |
※hiAのロングトーンが要。 |